ECU修理

FPCMの故障事例とカスタマイズのご紹介

BNR32のFPCM外観

タイトルの通り、一部の日産車にはフューエルポンプコントロールモジュレータ(FPCM)という燃料ポンプの動作を制御するモジュールが搭載されています。実は、FPCMの故障が原因でエンジン不動となってしまうケースは多く、中には基板が焼損してしまうケースもあります。

焼損したFPCM(部品および基板が焼損)

このFPCMは、部品の実装面(はんだ付けする部分)が片面の基板です(現在のECUは基板の中にも層がある多層基板がほとんどです)。このため、はんだ自体の経年劣化や振動の影響でクラックが発生することが多く、導通不良が原因で故障が発生してしまうことがあります。

コネクタ部のクラック拡大写真(BNR32 FPCM)

今回はフェアレディZのエンジン不動にて修理をご依頼いただいた際の事例をご紹介いたします。ECUをお預かりしたお車はエンジン不動とのことであり、燃料ポンプが駆動していないところまでは判明しておりました。このような故障事例の場合、エンジン制御ECUの故障で燃料ポンプが駆動しなくなる事も多々あります(第二世代GT-Rではよく故障するため、事前メンテナンスのオプション設定もあります)。ただし、お客様からお話伺うとFPCM(フューエルポンプコントロールモジュレータ)も故障が疑われましたので、エンジンECUとFPCMの両方をお預かりすることとなりました。

お預かりしたZ32のFPCM(焼損が発生)

点検の結果、FPCMに故障が発生していることが判明いたしました。また、写真の通り基板も焼損してしまい、ダメージが見受けられます。しかし、このFPCMには大きなクラックなどの故障は見受けられませんでした。そのため、更に詳しく原因を追求したところ、電解コンデンサの経年劣化により故障が発生しておりました。電解コンデンサの容量である静電容量は47uF→3.4nFとなり「14,000分の1にも満たない値」となっておりました。また、等価直列抵抗(ESR)もおよそ1Ω→1.6kΩと通常の「1600倍もの値」となっておりました。これでは燃料ポンプが回るはずがありません。

シルエットECUを組み付けたBNR32のFPCM

このように焼損してしまうケースも多く、片面基板では補修が難しい(強度や自動車用として継続的な利用を満足できる品質が確保できるか否かという点も考慮します)ということもあります。このため、弊社ではシルエットECUという製品を設計・製造しております。この基板は、FPCMの動作は純正同様のまま、部品や基板の設計を現代の技術を用いて製造した製品であり、ご安心してより長くお使いいただけるような工夫が盛り込まれております。もちろん、既存のFPCMが修理可能な場合には修理を実施いたしますので、お困りの際はお問い合わせください。

 カスタマイズのため部品交換を実施(参考画像)

今回はこの製品を用いてZ32用にカスタマイズを実施いたしました。というのも、GT-RとフェアレディZでは制御に多少の差があり、どちらも3段階の制御は同じですが、駆動範囲が異なります。もちろん、この製品は自社にて設計しているため、どの部品をどのように変更すればZ32と同様の動作となるかは把握しております。ほとんどがチップ部品ですが、弊社ではチップ部品の実装も大得意ですので、すぐにカスタマイズは完了いたしました。検証を行い、品質を確認して出荷となります。また、同時に問題のなかったエンジンECUのリフレッシュもご依頼いただきましたので2つ合わせてご返送させていただきました。まことにありがとうございました。

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