ECU修理

防湿・絶縁コーティングについて

最近、「防湿・絶縁コーティング」を行うと再修理ができなくなるとのお問い合わせがあるので、コーティングの必要性も含めて、ご説明いたします。※むしろコーティング未実施はお勧めできません。

弊社で使用している「防湿・絶縁コーティング」は基板製造の際にも使用されているもので、もちろん再はんだが可能(=再修理可能)です。 (はんだの熱により被膜を除去できるので、コーティング除去の必要もありません。) 湿気などからバリアする性質があり、基板パターンに絶縁被膜を形成して信頼性を向上させます。

基板の構造について

自動車の電子制御ユニットに使用されている基板の断面は、下記の画像のように層を形成しております。(画像は簡略化しており、通常は多層基板がほとんどです。) kiban 絶縁体(コア)の上に薄い銅箔がプリントされています。(この銅箔を回路のようにプリントしてあるので「プリント基板」とも呼びます。) そして、その上に「ソルダーレジスト」と呼ばれる被膜があり、はんだがつかない部分を保護しています。 例えば、湿気がある状態でレジスト層がなければ直接、銅箔に悪影響(腐食)を与えてしまいます。湿気がなくても銅は金属ですので「酸化」(=錆)します。 さらに、自動車では家電製品とは比べ物にならないほど過酷な環境下で使用し、高い信頼性が求められることから「コーティング」が施してあるものがほとんどです。 では、電解コンデンサからの電解液漏れが発生した場合はどうなるでしょうか。下記の画像をご覧ください。 kiban2コーティングやソルダーレジスト層、さらには銅箔にまで浸食します。銅箔が完全に浸食されると制御信号が伝わらなくなり、「エンジンがかからない」などの症状が発生します。 弊社では、この漏れ出した電解液を完全に除去し、必要に応じて基板の補修を実施いたします。(基板の状態に合わせて補修内容は異なります。)

 

つまり…

漏れ出した電解液を清掃する場合、腐食したレジスト層まで清掃することがほとんどです。 つまり、銅箔の層まで清掃することがあり、「コーティング」が必須になります。 ※防湿・絶縁コーティングを行わないと、銅箔むき出しのままで、「酸化や湿気による腐食」などの影響を受けてしまうからです。 なお、漏れ出した電解液を清掃しないと引き続き悪影響がでますし、元のコーティングやレジストは本来の機能が失われていることがほとんどです。

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