ECU修理

お問い合わせの多い「作業履歴」のあるECUについて

タイトルの通り、よくお問い合わせいただく作業履歴のあるECUの修理についてご説明いたします。 作業履歴といっても個人の方の作業や業者様の作業などさまざまですので、修理可否は一概には申し上げられません。 また、よくある「ほかの業者や個人での作業は危険です、うちにお任せください」というような、脅しともとれる他人様の批判ではありません。はっきり言ってみっともないとも思いますし、最終的に判断するのはお客様です。

以下は、修理履歴があるが不具合があるECU修理のご参考になればと思い、掲載されていただきます。

1.そもそも修理していない(コンデンサのみ交換している)

修理履歴があるECUの中で一番多いのはこのパターンです。ネットではコンデンサを交換したら症状が改善したという記事などもありますので、コンデンサ交換を試みる方が多いようです。しかし、コンデンサ交換だけではECUが直らない理由にも記載しておりますが、コンデンサを交換しただけでは直らない場合がほとんどです。この場合は、通常通りの修理を実施し実車確認をしてお返しするという形になります。 ただし、作業状況によって下記のような問題が起きていることがあります。

2.スルーホール損失

基板上には回路がプリントされており、スルーホールという穴に電子部品を固定しています。 部品ごとに適切な専用機材を使用しないと、このスルーホールがとれてしまいます。 そうなると部品に信号が伝わらず正常に動作しません。 下記の画像をご覧ください。

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緑色の基板を貫通するように銅のパターンがプリントされています。この貫通部分が「スルーホール」です。このスルーホールに差し込んだ部品の足をはんだで固定しています。 また、スルーホールから別の部品へと回路が印刷されています。(画像では基板の裏表で、左の足が部品Aに、右の足が部品Bにつながっています。) 部品を取り外す際に適切な機材を使用しないと、このスルーホールがとれてしまい下記のようになってしまいます。

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左の足のスルーホールが取れた場合、無理やりはんだで基板に固定しても部品Aへの回路が断線してしまいます。このような場合は基板補修で修理できることがあります。 ただし、下記のように基板が何層にも重ねられている場合は修理できないことが多くなってしまいます。(基板補修ができない可能性があります。)

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いままでにもJA11ジムニーのATコントローラで作業履歴があり、電源系の回路のスルーホール及び回路のほとんどがなくなっているものがありました。20箇所以上の補修を行い、正常動作を確認してお返しいたしました。

3.チップ部品損失

基板上には電解コンデンサのような大きい部品のほかにも、1mmほどのチップの部品も多数使用されています。 はんだごての使用になれていない場合やこて先が適切でない場合に、とれてなくなってしまったり焼損したりしてしまいます。 また、チップ部品はつける作業も専用機材や高度な技術を要します。 20160519_034837833_iOS 左がスルーホール実装タイプ、右がチップ実装タイプです。(左右どちらもトランジスタという同様の部品です。) さらに、チップ部品の場合は部品自体の規格を把握することも困難です(小さすぎて印字できないためです)。弊社では1KZ系車種は実車を準備している関係上、規格の判別が困難なチップ部品でも正常なECUと比較できるので修理できます。

4.はんだ不良

はんだ付けといえば、技術の授業でやったことがあるという方も多いのではないでしょうか。しかし、一言にはんだ付けといいましても、奥が深く高度な技術を要します。 作業履歴のあるECUでよくあるのが、はんだ充填不足(目玉はんだ)、イモはんだ、過熱、はんだブリッジ、はんだボール、追いはんだなど様々です。 よくあるのははんだの盛りすぎ、はんだ付けした後にリードを切っているものがあります。 弊社では適正なはんだ付けを徹底し、不良箇所はすべて修正ておりますのでご安心ください。

5. 規格外部品の使用、逆接

コンデンサには静電容量という、電気をためる量が決まっています。よく見ると、コンデンサ表面に~uFと書いてあります。この「uF」が静電容量の単位で「マイクロファラド」と読みます。 また、極性もあります。バッテリーのプラスとマイナスと同じです。 作業履歴のあるECUでは、静電容量の異なるコンデンサを使用しているために正常に動作しないものがよくあります。 20160519_020209493_iOS 上記の例は、3.3uFの箇所に4.7uFが使用されているECUです。 20160519_015959025_iOS上記の例は、コンデンサの極性が逆で取り付けられているECUです。コンデンサの逆接は、爆発の可能性があり非常に危険です。写真でもわかるようにかなり膨らんでいます。 フタのように基板が覆いかぶさって固定するタイプの場合、爆発したら修理不可となるケースがほとんどです。 弊社では、1KZをはじめJZ系ECU、JA11など修理実績のあるECUはすべて回路データ及び写真をデータベースとして残しております。規格外の部品が使用されている場合は、もちろん交換を実施いたします。 上記の例はあくまで一部の例です。作業履歴のあるECUすべてに当てはまることはありません。作業履歴があるのにお車に不調がある場合にご参考にしてください。 また、弊社までECUを送付いただければ責任をもって点検を実施させていただきます。お困りの際にはお声がけいただければ幸甚です。

お気軽に「お問い合わせ・修理のご依頼」のページからご連絡ください。


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